2015年5月23日撮影 “海老名郷土かるた”では「長谷川氏　墓石ずらり　浄久寺」と詠まれています． 「浄久寺」は，「新編相模国風土記稿」では，山号を長谷川山隆崇院，増上寺（東京都港区芝公園）の末寺とされています． 平安時代後期作と考えられる本尊・木造阿弥陀如来坐像，墨書から寛保３年（１７４３年）に造立されたと考えられる法然上人坐像などが安置されています． 法然上人坐像の胎内からは安政６年（１８５９年），文久元年（１８６１年）の納入経や関東大震災で破損した仏像を修理した文書などが納められていました． 長谷川正成（？～１６３８年）が寛永２年（１６２５年）に門沢橋他に１７５１石の所領を得て，門沢橋村を本貫地としたことから菩提寺として浄久寺を建立し，然誉知全（？～１６１７年）が開山したと伝えられています． このことから１６２５～１６３８年の間に創建されたと考えられますが，境内に慶長１９年（１６１４年）と刻まれている墓石があることや，本尊が平安後期作のものと考えられるなど，浄久寺の創建年代には不明な点が多くあります． （海老名市ホームページ“海老名郷土かるた”より引用しました）・・・まだまだ謎がありそうです．  本尊の「木造阿弥陀如来坐像」は海老名市指定重要文化財です． 説明文記載の内容を下記に転記します． 「この木像阿弥陀如来坐像は，浄久寺の本尊として長谷川正成（まさなり）が寄進したものと伝わる仏像です． 平成7年（1995年）の海老名市史編さん仏像調査により平安時代後期（12世紀）の定朝様（ていちょうよう）の仏像であることが明らかになりました． 座高は52.1センチで割矧ぎ割首造，眼には後補の玉眼が入っていますが，元は彫眼と考えられています．丸く穏やかな面相，ゆったりとした体，浅く整えられた衣表現など平安時代後期に興隆した定朝様式の特徴がよくでています．一部後世に補習されているものの海老名市内で確認されているものとしては最古の仏像であることから市指定重要文化財となりました，
2015年5月23日撮影	2015年5月23日撮影 池波正太郎作「鬼平犯科帳」の主人公長谷川平蔵の本家筋にあたる長谷川家の墓塔とし１５基の宝篋印塔（ほうきょういんとう）が残っています．
長谷川家石造宝篋印塔（ほうきょういんとう）群について（「浄久寺」の説明文より転記しました） 　寛永2年(1625年）に幕府旗本の長谷川正成が門沢橋村を所領地として与えられたことから，浄久寺が長谷川家の菩提寺となりました．以来，幕末まで長谷川家代々の当主とその家族が葬られて，墓塔として宝篋印塔が建立されてきました． 　台座には被葬者の没年代と法名・俗名が刻まれており，長谷川正成以降，正岱（まさたけ）まで8人の当主とその家族が葬られたことがわかります． 　別の寺院に葬られた記録のある人の名前や，複数の名前が刻まれたものがあること，長谷川正成が門沢橋村を所領地とする以前に亡くなった人の名前も見植えられることから改葬等の際に建立された宝篋印塔もあると考えられます． 　宝篋印塔は，江戸時代に幕府旗本の墓塔としてよく用いられ，江戸時代中期(17世紀）には盛んに造られました．このため数基単位で建てられる例はよくありますが，大形のものを中心に15基もの宝篋印塔が建立されている例はあまり多くありません． 　また，市内でこれだけの数の宝篋印塔が現存しているのは浄久寺だけであることから市指定重要文化財に指定されました． 後世に残したい遺産です．